ロンドン・オリンピックと絆 |
ロンドンで(2012年)7月27日から開かれていた第30回夏のオリンピックは,8月12日に閉幕となった.期間中,イギリス国内は大いに盛り上がり,それは予想以上とのことであった.日本では多く試合がリアルタイムに,あるいは収録されて放送された.ロンドンは,夏時間を採用しているので,日本に比べ8時間遅れである.したがって,夕方から夜に行われる重要な試合は,日本では深夜から朝方の放映となる.期間を通して私はあまり熱心な観戦者ではなく,いつもの生活スタイルで見られるものを見ただけであるが,それでも,女子バレーボールの韓国との3位決定戦や,女子サッカーのアメリカとの決勝戦の後半を,ライブで見ることができた.皆さんの中にはテレビの前の応援で,寝不足になった人も多かったのではなかろうか. さて,この大会,日本選手団は合計38個のメダルを獲得した.この数字,前々回のアテネ・オリンピックでの34個を抜いて,過去最多とのことである.金メダルは目標に達しなかったが,その代わり,多くの思いもかけない競技で,と言うのは失礼な表現であるが,銀メダルや銅メダルを獲得した.私にとって印象的だったのは,メダルの数はともかく,女子選手と団体競技での活躍である.例えば,3連覇を成し遂げたレスリングの吉田選手や,後にアサシン(暗殺者)と表現された女子柔道の松本選手,サッカー女子「なでしこジャパン」,バレーボール女子,卓球団体女子,アーチェリー団体女子など.実際,メダルの数を競技の数ではなく,何人の選手がもらったのかという数え方をすると,男子は延べ31名なのに対し,女子選手は実に延べ53名に上る. 日本は1990年代初めに「バブルがはじけ」,長い,長い経済不況に陥った.有効な手も打てず,社会の仕組みも大きく変えることができず,「失われた10年」とも,「失われた20年」とも表現されている.そして追い打ちをかけるように,昨年3月の超巨大地震による東日本大震災である.この大震災以降,復興のためには,人と人との結びつきが今まで以上に大事ということで,「絆」がキイワードとなった. ロンドン・オリンピックでの日本選手団の活躍,特に団体競技での活躍は,大震災以降の閉塞感の中で,私たち日本人を大いに勇気づけるものとなった.試合後のインタビューでは,仲間を信じて,自分の持ち場で自分がやるべきことをやれたから偉業を達成できた,と多くの選手が口を揃えていた.このような選手間の仲間意識が,日本の多くの人の心を動かしたのだと思う.さて,皆さんも,新たに大学で出会った人たちと,一人でも多く絆を結べるといいですね.そういう仲間を,沢山見つけてください. 2012年8月31日記 website top page |