徒然なるままに(2009年3月) |
1.朝食時に思うこと 私の毎朝の食事はまったくシンプル,ほとんど何も調理しないで食べられるものばかりである.ペーパーフィルターで入れたコーヒーを1杯,容器に小分けされたヨーグルトを1個.冷凍庫で保存している小さ目のバターブレッドを1枚か,カレーパンなどの調理パンを半分.これは電子レンジで加熱する.そして,りんご,グレープフルーツ,オレンジ,バナナなど,果物の中からどれか1個,もしくは半分.以上4点が,私の朝食である.午前中,特にお腹が減ったとも感ずることもないので,私にとってはこれで十分な量であると思っている. 朝食のための買い物は,毎日曜日に行く山形の生協である.1週間分,まとめ買いする.毎週,この1週間,朝はどんなものを食べようかな,などと考えて買い物している. さて,ヨーグルトでは,ナタデココ入りのものがお気に入りである.私が行く生協では,4個で一まとまりになったM社のものが入手できる.ナタデココは食感も適当にあり,ヨーグルトと良く合っている(と思っている)ので,ヨーグルトの中ではこれを選ぶことが比較的多い. ところで,ゴミの分別が叫ばれている.「分けなければゴミだが,分ければ資源」というャッチフレーズもある.このM社のナタデココ・ヨーグルト,容器はプラスティックで,容器には紙のラベルが貼られている.そこで,食べ終わった後,このラベル剥がしの仕事が待っている. 問題はこのラベル,プラスティックの容器に貼られたこのラベルが,なかなか剥がれないのである.どんなにうまくいったとしても,ほとんどいつも容器に薄く紙が残ってしまう. ラベルを貼るのに,どうしてもっと接着力の弱い糊を使わないのだろうか,と毎回感ずる.もっとも,「ポスト・イット」のような接着力では弱すぎるかもしれないが.現在の技術力で,簡単にできそうである.そのような糊の開発をすればいいのに,とナタデココ・ヨーグルトを食べるたびに思っている. 2.単なる偶然に過ぎませんが・・・ 私がこの欄やもう一つの欄,「若き研究者の皆さんへ」で何か書くと,それに関したことが何かしらそのうち起こる.そんなことが繰り返されているので,とても不思議に感じている.時間をさかのぼりつつ,そのようなことを書いてみよう. 今年(2009年)1月のこの欄で,いわゆる(財)日本漢字能力検定協会にまつわる「今年の漢字」の話を書いた(43).するとどうだろう,2月に入ると,この公益法人が巨額の利益を得ているということで,所管する文部科学省が調査に入った.この「事件」,メディアに連日のように取り上げられ,大きな社会的耳目を集めたので,皆さんもご承知のことだろう. 次に,昨年8月のこの欄に書いた高校の同級生,飯島和一君の話もそうである(38).今まで,彼が小説を出しても取り上げたことが無かった.実は,飯島君のことはいつか書こうとは思ってその元となる原稿は用意していた.昨年8月,4年ぶりに小説を出版したのをきっかけとなり,いいタイミングであると思い,この欄に掲載した.するとご存知のように,年末に,飯島和一君に大佛次郎賞が授与された. 少し前にさかのぼる.昨年6月,「若き研究者の皆さんへ」で,フンボルト兄弟のことを書いた(128).その後,昨年の10月,「フンボルト−地球学の開祖」(ダグラス・ポッティング著,西川治・前田信人訳,東洋書林,472ページ)なる本が出版された.そして,毎日新聞や読売新聞には,その後,その書評が掲載された.副題からわかるように,この本のフンボルトは,アレクサンダー・フォン・フンボルト,弟の方である.この本の出版を書評で知るや,早速購入したのは言うまでもない.お陰で,2008年は,私にとってフンボルト・イヤーのようであった. さらに少し前にさかのぼろう.2007年12月,やはり「若き研究者の皆さんへ」で,バタフライ効果として気象学者のローレンツ博士(E. Lorenz)のことを取り上げた(120).そして,ノーベル物理学賞をとるチャンスはまだあるので,期待していることを書いた.すると,翌2008年4月16日に,ローレンツ博士が亡くなられたことが報じられた.大変残念なことである.これでローレンツ博士がノーベル物理学賞を受賞するチャンスは,まったくなくなってしまった. 私が何か文章を書いたところで,次に起こったできごとには何の影響も与えず,両者の間には何の因果関係も無いはずである.2006年10月のこの欄の「なんでそうなるの」(16)にも同じことを記したのだが,単なる偶然とは言え,まったく不思議である. このことを冷静に分析すると次のようになるのではなかろうか.すなわち,私が取り上げようと取り上げまいと,歴史は進んでいく.しかし,私が書いたという行為で,私自身がその話題に敏感になり,その後何かが起こり,それが報じられると,それを目ざとく見つけ,その連鎖を,勝手に強く意識してしまうのだと.取り上げていなければ,知るチャンスも少なく,したがって感ずることもない.つまり,なまじ書いたばかりに,特にその話題が気になっただけなのだと. さて,皆さん,このようなことを感じたことはありませんか.そして,それに対する皆さんの分析は. 3.今日は何の日 今の日本では,毎日が「今日は何の日」状態である.たいていの今日の何の日は,よくもまあこじつけたものだと,あきれるくらい語呂合わせによるものが多い. さて,今日は何の日, 3月14日と言えば,ほとんどの人が「ホワイトデー」と答えるであろう.2月14日のバレンタインデーの「お返し」の日である. 先月(2009年2月)22日の地元紙,河北新報に,「3.14は『数学の日』/日本人円周率に関心/数の神秘 魅力無限」なる見出しの記事が掲載された.恐らく同紙の独自取材の記事ではなく,記事の提供を専門とする報道機関から配信されたものであろう. この記事によると,2000年に日本数学検定協会(このような協会もあるのですね)が行ったアンケートで決めたのだそうだ.数学の日を3月14日にすることは,圧倒的な支持を得たという.語呂合わせの今日は何の日が多い中で,3月14日(3.14)を数学の日にするとは,なるほどと思うとともに,ちょっと数学界がうらやましくなってしまう. 「3.14」と聞けば,ほとんどの日本人が円周率を思い出すに違いない.好きな数字というわけではないだろうが,頭に中にすっかり入っている.何年か前,この3.14を,小学校では3にしようとした.賛否両論がでて,結局は3.14に戻ったと思うのだが,確かめてはいない.円周率が単に3では,数学の日を選べなくなってしまいますね. ところで,海洋を研究している私たちになじみの日に,「海の日」がある.この海の日,2001年に制定され,2003年から施行された.当時の運輸省(現国土交通省),特に海上保安庁や気象庁関係者による長年の運動の結果,この日が制定されたのだという.「海の恩恵に感謝し,海洋国日本の繁栄を願う日」とされる. 1876(明治9)年,明治天皇が,東北地方や北海道を視察した.そして,7月16日,灯台巡回船「明治丸」で青森港を出て,函館港に立ち寄り,その後,太平洋岸の沖合を南下し,横浜港に入港した.この横浜港入港の7月20日が記念日となった.したがって,海の日が7月20日なのは,語呂合わせでもなんでもない. 海の日制定後,いわゆる「ハッピィ・マンデー」を設けるための祝日法改正が2回行われた.その結果海の日も,2003年からは7月20日という固定した日ではなく,7月の第3月曜日となった.私も含めて,働いている人にとってはいいのだが,一方で今日は何の日が,年によって移動するのも何か奇妙な感じもする. さて,明治天皇が乗船した「明治丸」であるが,全長73メートル,総トン数1010トンの補助帆を持つ汽船である.現在,国の重要文化財として,東京海洋大学越中島キャンパス(元東京商船大学)の敷地に保存されている.私も数回見ているが,大変きれいな船である. 2009年3月15日記 website top page |