2018年の日本の天候と地球温暖化
気象庁は1月4日に「2018年(平成30年)の日本の天候」を発表した.冬は全国的に気温が低く,北陸地方を中心に大雪になった.西日本(近畿・中国・四国・九州)の冬は平年差−1.2℃となり,過去32年間でもっとも低い気温となった.春から夏にかけては,西・東日本(関東・甲信・北陸・東海)とも記録的な高温となった.特に東日本では,春(+2.0℃),夏(+1.7℃),さらに年平均値(+1.1℃)も,1946年の統計開始以来最も高い気温であった.夏の猛暑はすさまじく,埼玉県熊谷市では7月23日に41.1℃の史上1位の気温を記録するなど,全国の観測点927地点のうち202地点で日最高気温が史上最高(タイも含む)となった.7月上旬には梅雨前線が本州付近に停滞したため,西日本を中心に記録的大雨となった.この大雨は広範囲にわたり土砂崩れや河川の氾濫を招き,200名を超す死者を出すなど,各地に甚大な被害をもたらした(平成30年7月豪雨).

台風活動も活発で,9月に入ると台風21号や24号が強い勢力を保ったまま西日本を縦断し,各地に大きな被害をもたらした.気象庁が12月21日に発表した「2018年(平成30年)の台風について(速報)」によると,8月には9つの台風が発生し(史上3位),また最大風速が毎秒54メートル以上となる「猛烈な台風」まで発達した台風は7つもあり,台風の最大風速のデータがある1977年以降,最多の記録とのことである.

世界気象機関(WMO)も毎年,世界の天候のまとめ「The State of the Global Climate in 2018」を発表しているが,10月末までの資料を用いた「仮まとめ」が11月29日に発表されている.それによると,2018年は観測史上4番目の高い気温となると推定されている.ちなみに,史上最高気温は2015年であり,以下,2016年,2017年,2018年と続く.1850年から1900年の平均気温に比べ0.98+/-0.12℃高い値である.また,2017年の二酸化炭素濃度は405.5+/-0.1ppmであり,過去最高だったと発表した.

さて,昨年の春や夏の高温,頻発する豪雨,発達する台風など,極端な気象現象が頻繁に起こっているようである.これら極端現象と地球温暖化との因果関係の指摘は,時間スケールが全く異なっているため困難であったが,最近それらの関係が議論されるようになってきた.温暖化した状態と温暖化していない状態とで多数のシミュレーションを行い,極端現象の発生確率を比較する方法(イベントアトリビューション:EA)が開発されたのである.昨年末のメディアは,気象研究所や東京大学のEA研究によると,温暖化が進んでいなければ昨年7月の気温は観測値よりも2℃低くなり,記録的猛暑となる確率はゼロ%だった,と報じた.このような結果を踏まえると,さらなる温暖化抑止対策は待ったなしであろう.


2019年1月20日記


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