サクラの開花予想
東京管区気象台は3月14日(土),東京でのサクラ(気象庁は‘さくら’と表記するがここではカタカナで)の開花を宣言した.千代田区にある靖国神社境内の標準木(開花日を決めるために毎年観察する木)に5輪から6輪の花が咲いているのが観察されたのである.これは,1981年から2010年までの平均値で定義される平年(3月26日)よりも12日早く,これまで最も早かった2013年や2002年(16日)よりも,さらに2日も早い開花である.この記録的な早さには今年の暖冬が反映している.気象庁の発表によれば,この冬(12月〜2月)の気温は,東日本と西日本で,平年よりもそれぞれ2.2℃,2.0℃高く,1946/47年の統計開始以来もっとも高い記録を更新した.

さて,サクラの花見は,すべての日本人にとって春を満喫する大きな楽しみである.実際,ほとんどの人がサクラの下での‘集い’を楽しんでいるのではなかろうか.そのようなことが背景にあるのであろう,2月に入ると民間気象会社はサクラの開花予想を公表することになる.この予想はその後の気温の推移もあるので,何日かおきに更新される.2月末(27日)の4社(ウェザーニュース,ウェザーマップ,日本気象(株),日本気象協会)の東京での開花予想日は,15日か16日というものであった.いずれの社もこれまでで最も早い開花を予想していたのである.実際の開花は14日であるので,予想日よりもさらに早かったことになる.ともあれ,2週間以上も前に1〜2日の誤差で予想していので,精度はとても高いと言える.

以前は気象庁も開花予想を出していたのだが,民間会社が予想をし始めたこともあり,2010年より行っていない(2009年12月25日の気象庁報道発表).それまで気象庁は,「さくらの予想開花日は,過去の開花日と気温のデータから予想式を作成」し,これに「前年秋からの気温経過と気温予報をあてはめて求めて」いた.使用する気温の予報には,週間・1か月・3か月予報などを用いていたとのことである.民間会社も各社それぞれ独自の工夫をしていると思われるが,基本的には気象庁と同じように,毎日の気温を積算するような方式で予想しているものと思われる.

前述のように日本人にとって花見は春の行事としてなくてはならないものになっている.しかしながら,今年は新型コロナウィルス(COVID-19)の感染が心配される状況のため,東京都は,サクラの名所である上野公園では,サクラの下に宴席を設けることを禁止した.今後,上野公園に限らず,全国のサクラの名所で同じような措置が取られるであろう.この措置は残念であるが仕方がない.ところで仙台での開花予想日である.2月末での各社の予想開花日は,早い社で3月26日,遅い社で31日であった.さて,どうなりますやら.

2020年3月20日記