前例のない出来事
新型コロナウィルス(COVID-19)感染症との戦いが正念場を迎えている.米国ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによると,日本時間4月19日夜現在,感染者は世界で233万人を超え,死者も16万人に及ぶという.日本(クルーズ船を含む)の感染者は1万1506人で,死者は248人である.この数字,今後どこまで大きくなるのだろう.このような状況の中で政府は,今月7日に7都府県に対して「緊急事態宣言」を出していたが,16日にこれを全国に拡大した.ゴールデンウィーク最終日の5月6日までの措置である.感染の度合いは地域によって異なるが,今月末からの長い連休で人の移動が激しくなり,結果として感染が全国に広がるのを懸念してとのことである.

このところYouTubeを使って海外のニュース番組を見ている.英国のBBC News,カナダのGlobal National News,米国のNBC Nightly Newsなどである.COVID-19パンデミック問題は毎日どのニュース番組でもトップ項目である.ニュースの中では,「unprecedented」という言葉がよく登場する.日本語では「前例のない」,あるいは「前代未聞の」と訳すことができよう.世界の誰もが,今まで経験したことのない事態の中で過ごしているのである.多くの国や自治体のリーダーたちは,これはまさしくウィルスとの戦争であると表現し,国民や住民への協力を呼び掛けている.この戦争の勝利とは,一国の問題ではなく、世界のすべての国々で感染症問題が収束(終息)することであり,このためには世界中の国々の協力が不可欠であることは言うまでもない.

さて,この冬(昨年12月からこの2月まで)はまさに前例のない暖かく雪の少ない天候となった.実際,東日本と西日本の冬の平均気温は,平年差でそれぞれ2.2℃,2.0℃高く,これまでで最も暖かい冬となった.気象庁が14日に発表した異常気象分析検討会の分析では,この原因は,偏西風の蛇行や正の北極振動による影響の他に,地球温暖化に伴う全球的な気温の上昇傾向が続いていることなどが背景としてあったと結論付けた.

私にとってもこの冬は前例のない経験であった.これまでの正月すべてを山形の地で過ごしてきたが,今年は,高い山こそ雪化粧しているが,道路はもちろん周辺の畑にも全く雪がなかったのである.実家のある天童や山形は,山形県内でも雪は少ない地域とはいえ,全くないのは初めての経験であった.温暖化が進行する中で,今後もこのようなことが頻繁に起こるのであろうか.COVID-19パンデミックに対すると同様,温暖化問題にも世界中の国々の協力が不可欠である.気象,天候,気候の中で,前例のない状況が生まれることは決して望ましいことではない.

2020年4月20日記