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著者 |
塩野 七生(しおの ななみ:イタリア在住の歴史エッセイスト) |
書名 |
小説イタリア・ルネサンス 1 ヴェネツィア/2 フィレンツェ/3 ローマ/4 再び,ヴェネツィア |
出版社等 |
新潮社,新潮文庫(し-12-21/22/23/24),2020年10月1日/11月1日/12月1日/2021年1月1日,385/374/291/495ページ |
一言紹介 |
1~3は,朝日新聞社から出版された『緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件』(1993年),『銀色のフィレンツェ メディチ家殺人事件』(1993年),『黄金のローマ 法王庁殺人事件』(1995年)を改題の上,大幅改稿したもの.4は書下ろし.ヴェネツィアの名家ダンドロ家のマルコと,その愛人で高級娼婦のオリンピアの物語.16世紀のイタリアはルネサンスの絶頂期であったが,東にスレイマン大帝が統治し西へ覇権を伸ばしたいトルコ帝国,西にはフェリペⅡ世が統治するスペイン王国が控えていた.2つの超大国には挟まれたヴェネツィアの外交は難しい.30代より‘貴族の義務’として十人委員会に属したマルコは,ヴェネツィアのために献身的に働く.マルコとオリンピアは創作上の人物であるが,登場人物の多くは実在者で,史実にも従っている.著者は,ヴェネツィアの長期繁栄の陰にはマルコのような国を愛し献身的に行動した人物がいたことを想い,この小説を書いたのだろう.
(2021年2月) |