サウジアラビアの高等教育政策 |
先月(2014年4月)14日から18日まで,サウジアラビアの首都リヤドを訪問しました.同国の高等教育省が主催する第5回高等教育コンファレンスに招待されたからです.本学から参加したのは,留学生課のK係長と歯学研究科のT先生,そして私の3人です. 国際展示場で開催された3日間のコンファレンスは,3つの要素から構成されていました.一つ目は,シンポジウムで今回は「イノベーション」がテーマでした.二つ目は,ワークショップと呼ぶ45分間の大学紹介で,3日間で75の大学が行いました.三つ目は,世界中から約350の大学が参加していましたが,巨大な展示場の中にブースを設けての大学紹介です.日本からは,本学のほかに東大,京大,阪大,名大,早大など,15の大学が参加しました.国別では,米国が圧倒的に多く108大学,ついでイギリスが77大学,サウジアラビアも15ほどの大学がブースを設けていました.会場には,サウジアラビアはもちろん,エジプトやアラブ首長国連邦などの周辺諸国からも大学生や高校生が多数来場し,留学したい大学の情報集めをしていました.主催者は30万人が訪問すると発表していましたが,この数字は大げさすぎるようです. 会場では,学生たちはにこにこしながら「こんにちは」の挨拶とともに私たちのブースへやってきました.そして,情報を集めた後は,「さようなら」や「有難う」と挨拶して離れていきます.彼らの話では,日本のアニメを吹き替えではなく字幕で観ているとのことで,自然と挨拶の言葉は覚えるようです.ところで,男女を問わず何組かのグループからは,写真を撮らせて下さいとの申し出がありました.同国では写真を撮ること,特に女性の写真を撮ることは厳禁と聞いていましたのでこれは驚きでした.コンファレンスへの参加は学校行事のようですので,写真を撮ることでブースを訪問したことの証拠にしようとしたのではないでしょうか. サウジアラビア政府は,石油や天然ガスの枯渇後のことを考え,国の繁栄のためには人材育成が重要との認識で,多くの若者を先進諸国へと送り,高等教育を受けさせようとしています.このコンファレンス開催もその一環です.現在送り出している学生数は約15万人で,全員に奨学金を与えているとのことです.日本大使館に勤めている現地の方は,日本へは約600名の優秀な学生が来ており,日本の教育の質もとても高いとの話をしていました.この出張を通して,同国の高等教育に対する熱心な取り組みと,そして若い人の教育を求める貪欲さのようなものを感じることができました. 2014年5月20日記 website top page |