古典芸能に触れる
先月(2015年4月)の28日(火),仙台市民会館大ホールで開催された「日韓国交正常化50周年記念韓国古典芸能の名人舞台『祈願と徳談』」に出席しました.大韓民国外交部,駐仙台大韓民国総領事館,河北新報社が主催した会で,東北大学高度教養教育・学生支援機構も,宮城県や仙台市とともに後援団体として参加しました.その関係で機構の教職員もこの会へ招待されたのです.1500人収容の大ホールは,満席という盛況ぶりでした.

日本の人間国宝にあたる韓国無形文化財芸能保有者の称号を持つ方など,7名の出演者による舞踊,器楽演奏,民謡が,次々と演じられました.いずれもが品のある晴らしい歌や演奏そして舞踊で,とても感動しました.私は,韓国へは研究集会出席のためのごく短期間の釜山への訪問1回と,トランジットでソウルに1泊した経験があるだけで,韓流ドラマも全く見ていませんので,韓国の古典芸能を見たり聞いたりしたのは今回が初めてでした.それでも,韓国の民謡や舞踊に,‘既視(聴?)感’というほどではありませんが,どこか懐かしいとの感情を抱きました.韓国の芸能は,古くから日本に伝来し,日本の民謡や舞踊に影響を与えているので,私たちはそれらの中に懐かしさを感ずるのではないでしょうか. 

私はこの会に参加し,このように古典芸能に触れることは,やはり素晴らしい経験になると改めて思いました.というのも,本学の全学教育に,日本の古典芸能を学んだり,さらにその実技を行ったりする授業を準備できないかと現在検討しているところなのです.このような授業への要望は,教員側からも学生側からも出ています.例えば,日舞や邦楽,そしてお茶や生け花,また,将棋や囲碁などの授業があってもいいのでは,との意見です.現在,どのような授業科目を設定できるのか,様々な観点から検討しているところです.是非,これらを整備して皆さんへ近々に届けたいと思っているところです.

ところで,この会でサプライズがありました.プログラムには掲載されていない「花は咲く」が,牙箏(アジェン),縦笛(ピリ),打楽(タアク),伽倻琴(カヤグム)で演奏されたのです.東日本大震災のチャリティソングである「花は咲く」の演奏は,梁桂和駐仙台韓国総領事のたってのリクエストだったということです.この演奏には,会場からとりわけ大きな拍手がありました.国や政府のレベルではぎくしゃくしている日韓関係ですが,このような交流を通じて少しでも早く改善することを願いたいものです.


2015年5月20日記


website top page