フォレスターの燃費 |
1.はじめに この(2013年)8月まで11年と3か月の間乗ったスバル・フォレスターの燃費のことである.フォレスターを乗り始めたのは2002年4月であるが,それ以後,給油時に,給油量や走行距離を,フィールド観察で使う野帳にメモしていた.今回は,このメモの情報をもとに燃費について解析した結果を報告する.燃費の経年変化や季節変化,そしてこの間,通勤場所に変化があったので,この乗り方による燃費の違いなどに興味を持ったからである. 私が乗っていたフォレスターは,2002年2月に発売された第2代目の,もっとも初期のモデルで,ターボチャージャー付きの2000ccのエンジン(プレミアム・ガソリン使用)が搭載されたタイプである.カタログ燃費は,10・15モードでリッターあたり13.0kmであった.もっとも,ターボ車とは言っても,私はエンジンをぶんぶん回して乗る方ではなく,省エネを目指したおとなしい乗り方をしてきた(と思っている). 2.使用データ データは,給油のたびにメモした@給油日,A前の給油以降の走行距離,B給油量,C車の全走行距離である.ほとんど毎回,これらすべての項目を記載しているのだが,たまにどれかの項目を記載していないときもあった.また,この車を私の連れ合いが2年ほど使ったのだが,その期間の一部で給油量の記載がなかった.これは今回の解析に致命的な問題であるのだが,適当な仮定をおいて給油量を推定した.詳しくは後述. この野帳は車に関連したことの雑記帳であり,給油時のリッターあたりのガソリンの値段,支払った代金,さらには,いつ夏(冬)タイヤから冬(夏)タイヤに交換したのか,いつ,どの走行距離でオイルを交換したのか,なども記載していた. さて,フォレスターの使用開始日は2002年4月27日の土曜日,使用停止日は2013年8月3日の土曜日である.すなわち,使用期間は約11年3か月である.月数でいうと135月,日数でいうと4116日,私はこの車とお付き合いしたことになる. メモによれば,この間,263回の給油を行った.すなわち,平均すれば15.65日に1回,ほぼ1か月に2回の割合で給油したことになる. さて,263回の給油であったが,このうち給油量の記載がないときが,2009年1月から5月までの5か月の期間で,計8回あった.先に記したように,この期間を挟む2008年10月から,2010年8月までの約23か月間,連れ合いにとって自分の車インプレッサより,フォレスターの方が都合がいいということで,車を交換していたのである.この8回の給油では給油日と走行距離は記載されていたものの,給油量についての記載はなかった. そこで,連れ合いが運転していた残りの期間,16か月間での26回分の給油で計算した平均燃費であるリッターあたり9.06kmを使って推測することにした.すなわち,走行距離が分かっているので,平均燃費で割ることで給油量を推測したのである. このように約5か月間分の燃費を推定せざるを得なかったのであるが,その期間は全体の約4%,走行距離も全体の3%弱程度であり,推定の仕方もそうおかしなものではないと思われるので,次節に示す数値の誤差は,数%以内に収まっているものと思われる. さて,一部推定されたものの,総給油量は11479リッターと見積もられた.総走行距離は117037kmなので,1回の給油あたりの走行距離は445km,給油量は43.6リッターとなる. 3.通算燃費と燃費の経年変化,季節変化 まず,全期間にわたっての燃費である.総走行距離は117037kmで,総給油量は11479リッターなので,通算燃費はリッター10.20kmとなる.前のエッセイにも記したが,スバルのディーラーによれば,このタイプであればリッターあたり7〜8kmの燃費が標準とのことで,リッターあたり10.20kmという数字はとてもいいとのことであった. これは,私の車の乗り方に関係しているだろう.2012年3月以前の私の乗り方は,次のようなものであった.仙台で生活する平日は,立町のマンションと研究室のある青葉山キャンパスの往復である.片道3.6kmであるので,往復で7.2km.土曜日も研究室に顔を出すので,週6日の通勤でおおよそ45km.週末は山形に移動する.マンションから山形の家までは片道ちょうど60kmなので,往復すると120km.ほとんど毎回高速道路を利用している.日曜日,山形では買い物や食事に出ることで,おおよそ20〜30kmの距離を走行しているのではなかろうか.以上の数値を足せば,1週間でおおよそ200km,1か月で800kmの走行距離となる.実際,全走行距離を月数で割ると,1か月あたり867kmの走行距離となる. 次に,年ごとに平均した燃費である.図1にこれを示す.2012年は4月下旬からの約8か月間の燃費である.また,2013年も8月上旬までの8か月間の燃費である.図には,年ごとの総走行距離数,総給油量も合わせて示している. 年平均燃費は,この図では右肩下がりであり,燃費がどんどん悪くなっていることがわかる.しかしながら,少し注意を要する点がある.まず,先に記したように,2008年9月から,2010年8月までの間は,連れ合いが山形で運転していた期間である.その時の燃費,リッターあたり9.06kmの燃費は,私が運転している時期よりもリッターあたり1km程度悪いことを考慮する必要がある.なお,燃費が悪いのは,連れ合いはほとんどが山形市周辺での移動で,高速道路を使って遠出することがほとんどないためである. 次に2012年4月以降の燃費のことである.この月以降,仙台での私の通勤経路が変わり,いわゆる「街乗り」が多くなった.平均的な通勤は以下のようになる.朝,立町のマンションから片平キャンパスに出勤,お昼ごろ,片平キャンパスから川内キャンパスに移動,そして,夜,川内キャンパスから立町のマンションに帰宅する.これで通常の全走行距離は約5.5kmである.そして,川内キャンパスから再び片平キャンパスに戻るような日も,少なからずある.したがって,それ以前よりは燃費の悪化が避けられない. 上記のような乗り方の変化も反映した実際の燃費の経年変化であるが,それでもやはり,使用期間が長くなるにつれて燃費が悪くなっているとみることが妥当だろう. 次に,燃費の季節変化である.それぞれの月の走行距離や燃料消費量は,ある程度の誤差を覚悟すれば推定できなくもないが,面倒なのでここでは給油した日の月を持って,その月のデータとした.したがって,厳密に言えば,たとえば2月のデータといっても,前の1月の状態がある程度(平均すれば1週間程度)含まれることになる.また,季節変化を求めるにあたっては,連れ合いが運転していた23か月間を除いたものとした.さらに後に記すように,結果的に特殊な乗り方となった2013年2月のデータも除いて計算した. 図2は燃費の季節変化である.平均値につけられた縦棒は,いわゆる誤差棒と呼ばれるもので,片側で1標準偏差を示している.平均値がこの標準以上に離れていれば,その違いは有意(確からしい)と解釈することができる. 図2から,最高の燃費は5月で,リッターあたり10.9km程度,最低の燃費は2月でリッターあたり9.3km程度であることがわかる.夏季(5〜8月)に比べると冬季(12〜3月)は,リッターあたり1kmほど燃費が悪い.これは,冬季の積雪による道路の路面状態の悪化のせいであろう.私は毎週のように山形と往復する生活をしているので,このように顕著な季節変化が出たものと思われる.仙台に住んでいる人のデータがこのように顕著に示すのかどうかは不明である. あまり有意(顕著)ではないが,9月に燃費が悪化しているのは,解釈に困る.夏は冷房のためエアコンを頻繁に使用しているから燃費の悪化が予想されるが,9月だけのこの低下はどうなのだろうか.ところで,最高の燃費を示す5月であるが,エアコンを用いる時期ではなく,さらに5月には連休があるので,遠出をしている機会が多かったためであろう. さて,給油ごとに計算した燃費である.燃費の最高値は2009年8月30日に給油したときで,リッターあたり12.99kmであった.この値,ほぼこの車のカタログ記載の燃費である.前日からこの日にかけては,山形県鶴岡市の湯の浜温泉に家族旅行していた.行程の大半で高速道路を使ったので,この燃費になったのであろう. 一方,燃費の最低値は,今年(2013年)1月中旬から2月中旬にかけての期間で,たったのリッターあたり6.05kmであった.この1か月間,一度も山形に帰らず,仙台市内の街乗りに終始していたときであった. 4.おわりに フォレスターの燃費について報告した.まとめると,11年と3か月間の通算燃費はリッターあたり10.20km,給油ごとの最高燃費はリッターあたり12.99km,最低燃費はリッターあたり6.05kmであった.燃費の経年変化は,乗り方が変わったこともあり,定量的な評価は難しいが,年ごとに燃費が悪化したことは確かである.季節変化では,冬季に夏季よりもリッターあたり1kmほど顕著に悪化したが,よく言われるエアコン使用による夏季の悪化は,そう目立ったものではなかった.最高燃費を示す月は5月でリッターあたり10.90kmであったが, これは5月の連休に遠出をすることが多かったことを反映しているものと思われる. さて,総給油量11479リッターは,18リッターのポリタンクで638個分である.フォレスターでこれだけのガソリンを消費したことは紛れもない事実で,「車を使うことで時間を節約しているのだ」と言い訳をしたいのであるが,ガソリンを消費して二酸化炭素などを排出したので,地球温暖化や環境破壊を促進させたのではないかと考えてしまう.今度選んだ新しい車は,もっともっとガソリンを消費しない燃費のいい車であってほしいものであるが,さて,どうだろうか.しばらくしたら,これも報告したいと考えている. 最後に,本稿を掲載するにあたり,S君に図1と図2の作図をしてもらった.記して感謝の意を表する. <図と図の説明> ![]() ![]() 図2.月ごとの燃費の季節変化.各月の平均値につけられた縦の棒は,片側1標準偏差で表した誤差棒. 2013年9月10日記 website top page |