気象学・大気力学分野の高須賀大輔助教が全球エネルギー水循環プロジェクト国際会議(GEWEX)の若手研究者コンペティションで受賞しました
気象学・大気力学分野(流体地球物理学講座)の高須賀大輔助教が、2024年7月8日〜12日に札幌で開催された第9回全球エネルギー水循環プロジェクト国際会議(9th GEWEX open science conference)において、若手研究者コンペティションの受賞者に選出されました。
この賞は、学部生・大学院生・最終学位取得後6年以内の若手研究者のうち、特に優秀な発表を行った者に与えられるもので、今回は3名が受賞しました。
・受賞者: 高須賀 大輔(気象・大気力学分野 助教)
・発表題目:Characteristics Of Precipitating Convection And Moisture-Convection Relationships In Global Km-Scale Simulations(全球キロメートルスケールのシミュレーションにおける降水を伴う対流と水蒸気-対流関係の特徴)
・選定組織:全球エネルギー水循環プロジェクト(GEWEX)・世界気候研究計画(WCRP)なお、本発表内容は、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)とオーストリア科学技術研究所(ISTA)の若手研究者らとの計3名の国際共同研究として進めたものです。
参考URL: https://www.gewexevents.org/meetings/gewex-osc2024/(GEWEXイベントサイト)
発表要旨:
気候研究に用いられる全球気候シミュレーションは、一般に水平100km程度のメッシュに区切られた仮想地球(気候モデル)に基づいて行われてきましたが、気象・気候の重要な構成要素である雲や降水の表現に曖昧さを残してきました。
一方で、近年の計算機性能の向上により、積乱雲を直接表現できるような細かさ(5kmメッシュ以下)で全球を計算する「全球雲解像気候シミュレーション」による研究が黎明期を迎え、より精緻な気候研究の世界が開こうとしています。
本研究では、世界に先駆けて日本および欧州の研究機関で独立に実施された3つの全球雲解像気候シミュレーションの結果を用いて、直接シミュレーションされた 1~100 kmスケールの雲活動とそれに伴う熱力学場(水蒸気や気温)との関係を明らかにするとともに、それよりさらに大きなスケールの場への影響についても議論しました。
雲が創発する地球大気の豊かな階層構造は、気象・気候における興味深い物理的特徴の一つです。いずれの全球雲解像気候シミュレーションも、まだ現実のような雲・降水システムの振る舞いは完全には表現できないことも明らかになりましたが、その知見は今後のシミュレーションの改善に役立てられることが期待されます。