日本の天候を揺さぶる熱帯の巨大雲群「マッデン・ジュリアン振動」の移動を左右する鍵を解明
熱帯域には、東西数千kmにも及ぶ巨大な積乱雲群がインド洋から太平洋に移動するマッデン・ジュリアン振動(MJO)という顕著な気象現象があります。MJOは世界各地に異常天候を導く源であり、例えば東北地方の日本海側や北陸地方の大雪の一因になるなど、日本の天気にも重要な現象です。このため、MJOの移動がいつどのように起きるかの解明は、熱帯気象学の最重要課題の1つでした。
東北大学大学院理学研究科の髙須賀大輔助教らの研究チームは、全球の雲の動態を精緻に計算する気象モデルを用いて、2つのMJOを対象に計4,000個の膨大な「パラレルワールド」を生成し、外的条件が同じ中でのMJOの移動の決まり方を解明しました。冬への季節進行後の12月はMJOの移動シナリオが複数存在して予測が混沌とする一方、シナリオ選択の鍵は、MJO発生時の風の強さに端を発する熱帯−中緯度相互作用の些細な違いにあることを突き止めました。この結果とアプローチは季節予報やAI天気予報の精度向上に繋がります。
本研究成果は科学誌Science Advancesに日本時間2026年 2月19日午前4時付で掲載されました。詳しくは東北大学理学研究科のプレスリリースの頁をご覧ください。
論文タイトル:Propagation of the Madden-Julian Oscillation as a Deterministic Chaotic Phenomenon
著者:Daisuke Takasuka*, Tamaki Suematsu, Hiroaki Miura, Masuo Nakano
*責任著者 東北大学大学院理学研究科 助教 髙須賀 大輔
掲載誌:Science Advances
DOI:10.1126/sciadv.adz1916
図1. 2025年1月21日(左)と2月4日(右)の21時(日本時間)における気象衛星ひまわり8号の雲画像(千葉大学環境リモートセンシング研究センターの公開データを用いて作成)。インドネシア島嶼部を覆う巨大な雲の群れがMJOに伴うもの。2週間の間に雲の群れの中心は東に移動しており、この群れから渦巻いた熱帯低気圧が発生している。