Topics 2017.09.22

海に降る雨

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図1 2016年12月5日 仙台湾にて撮影。

 雨といえば集中豪雨など災害絡みで話題になることが多いですが、今回は日本周辺海域における長期的な雨の降り方の傾向の話です。海に降る雨は、海水の塩分に影響します。塩分は海水の密度(重さ)に寄与し、海水の重さは圧力を介して海流と関係するので、海に降る雨は、海水の質だけでなく、海の流れにも影響します。もちろん1回、1回の雨の量は、海水の総量に比べれば微々たるものですが、海に降る雨に長期的な偏りでもあれば、それは、じわじわと海を変化させることになるでしょう。

 下に示した図2は、日本周辺海域の降水量の平均分布図です。この図2は、気象庁の数値予報モデルによる時間降水量データから作成しました。平均期間は2007年から2016年までの10年間です。降水量が多いほど暖色となるように色付けしています。この平均分布図を見ると、黄色から赤色で示した降水量の多い領域が、東シナ海を台湾付近から沖縄・奄美大島の西側に細長く伸びています。それは、九州の南方から太平洋の四国・東海沖へと続きます。そして、房総半島の東の海上にも降水量の多い領域があります。こうした降水量の多い領域は、海流図と比較してみると、黒潮・黒潮続流とよく対応します。

 平均分布図には、海だけでなく、陸上の降水量の分布も描かれています。陸上での降水量の多少には山脈のような地形の影響が見られます。海の起伏は、陸上とは違ってはるかに緩やかです。降水量と黒潮・黒潮続流の関係は、陸上地形でいう起伏のような役割をしていることを示唆しています。

  降水量の平均分布図は、数値予報モデルの計算結果から作成したので、実際の平均分布がこのようになっているかはこれから確かめる必要があります。降水量に限らず、船舶などによる現場での海洋観測データは限定的で、細かな構造を調べるのには限界があります。近年は降雨レーダーという降水量を計測するセンサを搭載した人工衛星による観測データの利用できるようになりました。モデルによる数値計算と衛星・現場観測の両面から「海に降る雨」の特徴が徐々に明らかになっています。

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図2 日本周辺海域の降水量の平均分布。20072016年の気象庁数値予報モデルによる時間降水量データから作成。

 

リンク : 大気海洋変動観測研究センター 衛星海洋学分野

(文責 : 大気海洋変動観測研究センター 衛星海洋学分野 准教授 境田 太樹 / 日高 一希)

 

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